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特集記事
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【ランクル紀行】難波 毅

2014.11.28

世界のランクルからこんにちは

ランドクルーザー・ファン・コミュニティー

11260140ミーティング・イースト名物のヨンマルコンボイ走行。2014年は100台を超えるコンボイとなった。

今年1月、ひとりの男が逝去した。ランドクルーザーのファン、特に40系のオーナーならば知らない人はいないであろう男、アメリカにあるランドクルーザーのスペシャルショップ、スペクター・オフロード(S.O.R.)の創立者であるマーブ・スペクターである。享年64歳、若すぎる死であった。

奥さんのケイは「お葬式の代わりに友達を呼んでお別れの会をやりたい」と望んだ。会の開催日は5月4日(日)と決まり、S.O.R.のホームページで参加希望者の登録が行われ、4月29日の締め切りまでに382家族853人の申し込みがあった。

1126102014年5月に開かれた「マーブ・スペクターお別れの会」に集まった多くのファン。彼の人柄から出来上がったコミュニティーだ。
112611SORの会社の裏道はランドクルーザーで埋め尽くされ、まるでランドクルーザー・ミーティング。アメリカらしく40系、60系が目立つ。

会の当日は朝10時過ぎから参加者が集まり始めた。S.O.R.の会社裏の市道にはランドクルーザーがびっしりと集まり、まさに市街地での「Land Cruiser Meeting」の様相に。市当局も市道の占有を許可してくれていたのだ。大きな仮設テントの下で丸テーブルを囲み、ハンバーガーにコークという完全なアメリカンスタイルで、それぞれがマーブの思い出話に花を咲かせ、その間を縫うようにケイが挨拶に飛び回っていた。

海上コンテナの店舗からスタートし、26人の従業員を抱える会社にまで規模は大きくなったが、それもマーブとケイ、ふたりのフレンドリーな人柄があってこそのことだと思う。マーブを中心に大きなコミュニティーが出来上がっていたのだ。

このように、ランドクルーザーには人を惹き付ける力があることはオーナーならば少なからず感じていることだろうが、世界中にはさまざまなランドクルーザー・ファン・コミュニティーが存在する。

オーストラリアにはランドクルーザー・クラブ・オブ・オーストラリアという全国規模のコミュニティーがある。1969年にシドニーで発足したが、1973年にはメルボルンで33人のメンバーでビクトリア州のクラブが動き出した。現在では州ごとにクラブがあり、ニュー・サウス・ウエールズ州のクラブは南半球最大の四駆クラブである。ビクトリア州は会員数が600名を超え、毎月32ページの会員誌を発行する。2007年には各州5つの支部が南オーストラリア州で全国集会を開いた。この時にトヨタ・オーストラリアは記者発表前の新型200系を会場に持ち込み、クラブメンバーにお披露目をしている。日本で生まれオーストラリアで育ったといわれ、アウトバック開発に大きな貢献をしたランドクルーザーは、今でも鉱山や鉄道、牧場で幅広く使われている。それだけに個人ユーザーが集まるコミュニティーも規模が大きく組織化されていて、トヨタとしても無視できない存在となっているのだ。

1126052007年9月に南オーストラリア州フリンダーズ山地国立公園で開催されたトヨタ・ランドクルーザー・クラブ・オブ・オーストラリアの全国集会。

1126062007年に9月に南オーストラリア州フリンダーズ山地国立公園で開催されたトヨタ・ランドクルーザー・クラブ・オブ・オーストラリアの全国集会。
素晴らしい景観の中を走るダートでたくさんのツーリングが行われた。

 ヨーロッパにはドイツを中心としたウェブサイトと合体したランドクルーザー・コミュニティーがあり、毎年9月にドイツ・フランクフルト郊外で「ブッシュタクシー・ミーティング」が開催される。2001年にトヨタ製四輪駆動車のオーナーの集うサイトを目指し「ブッシュタクシー.ネット」というサイトを立ち上げたアレクサンダー・ウォールファースという個人が主催しているイベントだ。サイトは今では1カ月320万アクセスを超すヨーロッパ最大のランドクルーザー・サイトに成長した。一方、そのオフライン・ミーティングとして始まった実際のミーティングも今年で13回を迎えた。ミーティングへの参加台数も毎年増え続け、今年は約1,000台の四駆が、ドイツはもちろんロシア、スイス、イタリア、イギリスなどからも集まった。その8割以上がランドクルーザーだというから、世界最大規模のランドクルーザー・イベントでもある。

1126122013年9月、ドイツ・フランクフルト近郊で開催された「ブッシュタクシー・ミーティング」。ヨーロッパ各地からランドクルーザーが600台近く集まった。キャンパーに改装されたロングモデルが多い。

翻って日本だ。ランドクルーザー生産国にもしっかりとコミュニティーは根付いている。1987年に岐阜県中津川市黒井沢で第1回の「ランドクルーザー・ミーティング」が開催された。全国5つのランドクルーザー・クラブが力を合わせて始めたイベントで、日本初のランドクルーザー・ワンメイクのイベントだった。第10回を迎えたときに、主催するクラブのメンバー高齢化などを理由に中止の決断が下されたが、存続を希望する若いメンバーが自発的に集まり、歴史の灯が絶えることを防いでくれた。今年は第28回目のミーティングが奈良県十津川村で開かれた。

さらに、40系、70系、60系、80系などモデルごとのミーティングも毎年開催され、御殿場で行われる「40ミーティング・イースト」には200台を超すヨンマルが毎年集まる。

 各クラブの規模は決して大きくはなく、活動の範囲も諸外国のクラブに比べると狭いかもしれないが、若者を中心にしっかりとランドクルーザー・コミュニティーが築かれているようである。

112602富士山5合目の駐車場に集まったヨンマル。車で「4」の形を作った。

1126031987年5月に開催された第1回ランドクルーザー・ミーティング。初めてのランドクルーザー・ワンメイクのイベント。

1126041987年5月に開催された第1回ランドクルーザー・ミーティング。何もかもが手探りの状態で運営された。

 1986年にBJ41Vを船でオーストラリアに運び半年間の旅をした。その時に、「ランドクルーザーに乗っている」というだけで、たくさんの人に声をかけられ、家に招待され、仲間を紹介してもらい、特別な場所をたくさん教えてもらった。何人かはいまだに親しくお付き合いをさせてもらっている。また、世界各地、大概どこに行ってもランドクルーザー・コミュニティーが温かく迎えてくれるのだ。

こんなことを可能にしてくれる車はランドクルーザーを置いて他にない。開発、製造、販各段階でのメーカー関係者の情熱、厳しい環境で仕事に使い倒すビジネスユーザー、そしてランドクルーザーをひたすら愛する個人ユーザーの情熱が、ランドクルーザーという車を特別なポジションに押し上げているのだ。(文中敬称略)